ドラッカーが発した「5つの質問」

  • 2018.01.15 Monday

 今回は、月刊誌「致知」2018年2月号に掲載された「ドラッカーに学ぶ経営の原則」と題するトップマネジメント社長山下淳一郎氏の記事を引いて稿を起こしたいと思う。

 

 ドラッカーは会社経営の要諦をいろいろと教えてくれている。その中で、山下淳一郎氏は「ドラッカーが発した5つの質問」を特に取りあげておられる。1われわれの使命は何か、2われわれの顧客は誰か、3顧客の価値は何か、4われわれの成果は何か、5われわれの計画は何か、である。

 

 1の「われわれの使命は何か」は、わが社がこの社会に存在しなくてはならない理由はどこにあるのか、自社の社会における存在理由を自覚すれば働く意欲が生まれ、その仕事の価値を感じれば、つらいことにも耐えられるというのである。

 

 2の「われわれの顧客は誰か」は、われわれの使命は誰に向けられたものか。誰のお役に立ちたいのか、どういう人を幸せにしたいのか、これが明確でないと使命も薄れてしまう。顧客を明確にすることが重要なのである。

 

 3の「顧客の価値は何か」は、自分たちが売りたいものを押し付けて売るのではなく、自分たちがお役に立ちたいと思っているお客様は何を望んでいるのか、何に価値を感じているのか。

 

 ここで、富士ゼロックスの例が挙げられている。富士ゼロックスはコピー機を開発した。売れると思っていたところ、高価だったため当初は全く売れなかった。そのときに経営陣が問うたこと、それが顧客の価値は何か、だったのである。それを突き詰めていくと、顧客が求めていたのはコピーの機械ではなく、コピーだったことに気づいた。そこで、コピー機を売ることをやめて、使った分のコピー代を請求する方法に変えたのである。これにより、富士ゼロックスは一気に飛躍した。コピー機を売らずにコピーを売る、顧客のニーズがどこにあるのかを的確に捉え事業の目的としたケースである。

 

 4の「われわれの成果は何か」は、成果というのは売上や利益のことと想いがちであるが、大事なのはお客様がどうよくなったかである。医者であれば患者さんの病気が治ることであるし、学習塾であれば、生徒が第一志望に合格することであるし、コーチであれば、選手が金メダルを取ることである。そこに気づかなければならないのである。

 

 5の「われわれの計画は何か」は、計画とは、ただ数字を立てスケジュールを組めば良いわけではない。事業を底上げするための目標を立てることだとドラッカーは言っている。喜んでくださるお客様をどれくらい増やすのか、どう増やすのか、そのために人、モノ、金、時間、情報などの経営資源をどうやって手に入れ活用するのか、という目標を立てた上で役割分担し実行していく。計画を実行に移した結果、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるだろう。それらを振り返り軌道修正を重ねていくことで生きた経営ができ上がっていくというのである。

 

 ドラッカーは「事業の目的とは、顧客の創造である。」と言っている。顧客の創造とは、要するに喜んでくださる人を一人でも多く増やすこと、この言葉のとおり、売上を伸ばすことを目的とせず、いかにお客様に喜んでいただくかを追求していくこと、このことが結果として業績を好転させていくというのである。

 

 私はドラッカー、その教えを普及される山下淳一郎氏のご意見に心底賛同する。2018年の年頭に当たり、ここに挙げた5つのことを、今後の経営や経営指導の基本に置きたいと思う。


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新しい歳の意味

  • 2017.12.27 Wednesday

 歳の変わり目には、干支のことが話題になる。子、丑、寅、卯・・・、新しい年は戌年、鳥から犬へとバトンタッチである。

 

 酉年になるときは、酉の字にはどういう意味合いがあるのか、そうするとどういう歳になるのか、などを調べて悦に入っていたものである。たしか酉年は盛り上がる歳で良い歳になると理解していたが、現実には良いこともあり、悪いこともありのごく普通の歳であった。

 

 考えてみれば(考えなくても)分かることであるが、干支の字によってその歳の在り様が決まるとすれば苦労はない。現実社会がそうはいかないのは当然であって、複雑な社会事象の働きによって、世相というものが紡ぎだされてくるのである。

 

 しかし、歳の初めに、今年はどういう歳になるのであろうかと想いを巡らすのは自然なことで、誰しも想うものではないか。その想いを巡らすためのよりどころの一つが干支の字義なのである。凡人にとっては、他に手掛かりがないのであるから、それに頼るしかないと言っても過言ではない。

 

 また、干支の字の意味合いについては、往々にして説得力のある書き方になっているので、そうなるのかも知れないと大いに期待し、あるいは観念するのである。

 

 新しい歳がいかなるものになるのか…、経済動向は…、株価は…など識者の見立てが、歳の初めにいろいろな媒体で発信されるが、これらは所詮予言であって、当たるも八卦、当たらぬも八卦、結局そのような類であり発信者に責任はない。とすれば、干支の字義による見立ても似たようなものではないか。学者や識者でない凡人にとって、干支の字義を唯一の手掛りとするのも致し方のないことであろう。

 

 戌年はいかなる歳になるのか。字の意味合いを今回は敢えて調べてはいないが、恐らく専門家の見立ては既に存在していて、それが今後徐々に人口に膾炙してゆくことだろう。

 

 それはそれとして、まあ、結局、この戌年も良い歳になるのだろうと高をくくるのも、一つの処世術ではないかと思う。


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脳の雪解け

  • 2017.12.15 Friday

 うーむ、今度は何を書こうか、ブログ。うーむ、思い浮かばない。うーむ、そろそろアップしないと・・・、何かないか。毎回、ブログには泣かされる。思いつかないのだ。そうだ、散歩に行こう、散歩中に何かいいアイデアが浮かんでくるだろう。ということで、散歩することとした。

 

 家の周りを巡る1時間位のコースである。寒い時期になったので、防寒具を着てスポーツシューズを履いて出かける。歩き始めて何がいいだろうかと思いを巡らす・・・。歩くことで脳が活性化されていいアイデアが湧きだしてくるというのが、私の持論である。

 

 仕事のこと、税制のこと、ペットのこと・・・、趣味のことときて、これといった趣味のないことに愕然とする。酒呑んでカラオケ歌うくらいしかないのである。これではブログのネタになりはしない。まだ脳は活性化されていないのか、スピードを上げる。

 

 しばらく周りを眺めながら歩く。そのうち何か出てくるだろうと・・・歩く。出てこない。出てこない。脳が固まっていて、なかなか柔らかくなりにくいのだろうかと、そんなことを考えていると、そうだ、この散歩のことを書けばいいじゃないか。散歩に出た理由、散歩中のことなど書けば良いのだ。そうだ、これにしよう。

 

 やっと、脳が雪解けした。

 

 今回は、苦渋の作品、簡単ですが、これにてブログとさせていただきます。


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二回目の台湾旅行

  • 2017.12.01 Friday

 

 2年前の正月に続き、台湾旅行に行ってきた。時は11月上旬、寒くはなく、やや汗ばむような陽気であった。台湾は九州と同じ程度の大きさで、熊本からは2時間ちょっと、時差は1時間である。

 

 熊本空港から高雄空港に飛び、高雄で一泊、翌日専用車で高雄市内の観光をして台南から新幹線で台北へ出た。新幹線は初めて乗車したが、日本の新幹線と殆んど同じ仕様であった。車内の状況、ハード面ソフト面に日本の技術を取り入れていることが分かった。唯一違うところは、乗車券の改札の仕方にあった。

 

 台北では2泊した。前回は台北に降り、西側をバスで南下、高雄から東側に回って北上し、花蓮から空路台北入りして一周するというコースであったが、今回は西側だけを周るコースで、九フン観光がメインであった。

 

 

 九フンは山手で台北は晴れていても九フンは雨が降るという状況にあり、当日は雨であった。夜景が売り物であったが雨ではしようがない。狭い階段の道を傘をさして、押し合いへし合いしながら上り下りした。行き交う人は殆んどが日本人であった。そこで、花文字を書いてくれるところがあり、「商売繁盛」という文字の額縁を記念のお土産とした。

 

 

 忠烈祠の衛兵交替儀式、故宮博物院の翆玉白菜・豚の角煮などは何回見ても興奮するところである。四日目は台北から新幹線で高雄に戻り帰熊した。

 

 片道2時間近く乗車する新幹線で往復するというのは、観光旅行としては効率が悪い、観光拠点が台北に集中している台湾観光は、やはり台北を中心とした行程の方が良いようだ。

 

 熊本県、熊本市が開発した熊本高雄直行便は、高雄から利用する台湾人には有用なようで、搭乗客は往復とも9割が台湾人、1割が日本人という具合だった。外国人の日本観光が活発であることが、このことでも良く理解できる。


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アベノミクスと雇用者給与増加減税

  • 2017.11.10 Friday

 アベノミクスがなかなか実感できないことの要因に消費の低迷があげられる。消費を喚起するには給与を増やさなければと、政府が財界に働きかけたりしたところであるが、税制においてもそういう後押しの制度が講じられている。法人が給与を上げたり、雇用を増やしたりすると法人税負担を減少させる制度である。

 

 給与が増加したら増加額の10%を法人税から控除するというものであるが、給与を上げるということは、資金が会社の金庫から出ていくことであり、その出て行った金額の1割が税負担の減少という形で金庫に戻ってくる仕掛けである。9割が出っ放しということを経営者はどう考えるか。税負担が減少するから給与を増やそうと考える経営者はどのくらいいるのだろうか。

 

 経営者がコストとして考えるのは、生産性の向上につながるかどうかということが一番で、次が分配率の問題、その次が福利厚生としての性格を考えるかどうかではないだろうか。

 

 税負担の軽減額の計算の骨格は、適用年度の給与が平成24年度に比しどの程度増加したかということであるが、増加している場合でも前年度と比較して増えていることが条件となっている。つまり、増え続けることが必要なのである。また、税額控除の割合が10%から平成29年度以降分については22%に引き上げられたが、これは、アベノミクスの腰折れを懸念する政府の切羽詰まった気持ちが現れているようだ。歳入が減ってもよいから給与を増やして欲しい、そういう強い気持ちが現れた税制である。


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特別償却がトクか税額控除がトクか、朝三暮四

  • 2017.10.20 Friday

 固定資産を取得しようというとき、リースが良いか買取が良いか尋ねられることがある。これは、時と場合によると考えているが、一番のポイントは資金を有効に使えるかどうかであると思っている。この外、税務上の問題もあり多面的に検討する必要がありそうだ。

 

 これと似たもので、特別償却が良いか税額控除が良いかというテーマがある。

 

 法人が機械等を取得した場合に特別償却ができるものがあるが、このときは、税額控除もできるようになっているものもあり、どちらかを選択することになっていて、どちらが良いかというのである。

 

 減価償却というのは、耐用年数の期間でその資産を費用化するもので、特別償却をするということは、手前で多く償却しその先では少なく償却するものである。いずれにしても償却費の総額は同じであって、早くするかどうかの問題であるから、いわゆる朝三暮四の世界なのである。

 

 これに対し税額控除は、償却の他にできるものなので耐用年数の期間を通算すれば、税額控除を選んだ方がトクになるのは決まっている。

 

 しかし、経営者の経営判断は別のところにあるようだ。早く投下資金の回収を図る観点で物を見れば、税額控除では収まらないものもあるようなのである。

 

 例えば1000万円の機械を買った場合、最近の特別償却は100%できるものがある。これが適用できれば1000万円の償却費が計上されるのだ。この税負担の減少額は、実効税率を30%とした場合300万円になる。これに対し税額控除は7%であるから、地方税への波及額を含めても負担の減少額は80万円ほどである。経営者はどちらを選ぶか、おわかりだろう。


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ペット保険について

  • 2017.10.01 Sunday

 この度の老犬チャーリーの死、その2年前のミント(チャーリーの連れ合い)の死によって、ペットは人間と同じような病気にかかり、同じような終末を迎えることを、極めて当然のことながら改めて自覚した。

 

 ペットは人間に癒しを与えてくれる。そういう存在の必要性を感じて生活共同体を構成したならば、ペットの一生を抱え込み責任を果たさなければならない。

 

 そういうことで、ペットが体調を崩せば、人間と同じように医者にかかり、手厚く看護しなければならないのである。チャーリーにしてもミントにしてもよく医者にかかった。チャーリーの最後の半年は老境にあったので、かなり頻繁だった。今年の治療費は60万円に上った。その前から計算するならば軽く100万円を超すであろう。

 

 人間ならば健康保険制度で負担が抑えられるが、ペットは全て自費であるところが痛いところである。この負担をなんとか減らすことができないかと考えると、その先にはペット保険が見えてくる。

 

 ペット保険の内容は医療保険である。これは、ペットにかかる医療費の負担軽減を図らんとする飼主の気持ちにマッチしたものであり、ペット産業の一翼を担っているようだ。

 

 これは、生命保険ではない。寿命が最長でも20年程であること等から、死亡保障は制度として成り立たないのであろうと推察する。

 

 ペット保険の中身を見てみると、通院、入院、手術にかかった費用等について補償するものになっているようである。

 

(1)どういう場合に補償するのか。

(2)かかった費用の何割を補償するのか。

(3)保険料はどうなるのか。

 

 これらが選択のポイントになっているようで、保険会社としては、それぞれ特徴をだし工夫を凝らして商品を構成し競っているように見える。

 

 この度のことで、意外とペットの治療費に金がかかっていることが分かった。今、我が家には1歳になったばかりのハナちゃん(ノーフォークテリア)がいる。ハナちゃんもチャーリー、ミントと同じ犬種であるから、同じような経過を辿る可能性大である。

 

 ならば、考えなければならない。そういうことで、ハナちゃんをペット保険に掛けるよう検討しているのである。保険料の総額が、補償額に比してどうなるかなど、いろいろ考えることがあるが、とにもかくにも、治療費負担がこれにより相対的に軽減されるならば幸いなのである。


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個人事業者の建物の修繕費と保険金の取り扱い

  • 2017.09.20 Wednesday

 個人事業者の事業用建物が地震で被災し、地震保険金が下りた場合に修繕費を必要経費に算入するときは、保険金を控除しなければならないのだろうか。これが疑問だった。

 

 この話を進める前に理解しておくことがある。それは、事業用建物が被災した場合、その損失を修繕費とは別に資産損失として必要経費に計上するのかどうかである。

 

 これについては、所得税法51条(資産損失の必要経費算入)において明確にされており、修繕費とは別に資産損失の額を必要経費に算入することとされている。その金額の算出方法は、被災直前の帳簿価額から被災直後の時価を差し引いた金額とされるが、り災証明書記載の「り災程度の割合」により計算することも認められている。

 

 つまり、被災直前の簿価に「全壊」の場合100%、「半壊」の場合50%、「一部損壊」の場合5% の割合を乗じて損失の額を算出するのである。これは被災直後の時価の算出が極めて難しいため設けられたものではないだろうか。

 

 この損失を計上する場合には保険金を控除する旨同法で規定されているから、資産損失の額に比し保険金額が同額か多い場合は必要経費算入額はゼロとなる。

 

 次に原状回復のため修繕を行った場合、その修繕費についてはどのように取り扱われるのだろうか。所得税法においては、先入れ先出し法的に、まず、資産損失を必要経費に計上することとされているので、その修繕費(資本的支出部分を除く。)のうち資産損失に相当する部分の金額は資本的支出とされる。従って、その残額が修繕費として取り扱われるのである(所基通51−3)。

 

 この場合、受け取った保険金が資産損失相当額より多かったときは、この多い部分は修繕費に対しどう取り扱われるのであろうか。

 

 これは、所得税法37条(必要経費)において必要経費を計上する場合、保険金を控除する定めになっていないことから、保険金を控除する必要はないのである。他方、保険金は非課税のため収入に計上する必要はない。

 

 今回、このような処理をする事案に遭遇したが、先の道理が分からず右往左往した。法令通達を見てもよく理解できず、解説書を探るも適切に解説したものには出会わなかった。また、各種税務相談所に問い合わせたものの、適切な回答には巡り会えなかったのである。

 

 しかし、ごく少数ながら修繕費から控除する必要はないとする説もあるにはあったが、私はそれには慎重な態度をとった。それは納税者にとって有利だったことと何より少数意見であったからである。

 

 いずれにしても、法令がどのように規定しているかであった。私は保険金を控除する必要はないとするその論拠を深く探り、法令通達を再度検討してみた。そうすると、前述のような理解に辿り着いたのである。

 

 このような経緯からして、修繕費から保険金を控除して必要経費を計上して申告しているケースは少なくないような気がしてならない。

 

 平成28年の熊本地震はマグニチュード7.3、被害件数は、全壊6,990、半壊20,219、一部損壊85,635、合計112,844とされている。これに対し、地震保険金の支払総額は3,773億円である。単純に被害件数で除してみると、1件当たり3,343,553円の保険金が支払われていることになる。地震保険をかけていなかった人が相当数いたと思われるから、その金額はもっと多くなると思われる。

 

 また、事業用建物に地震保険をかけていた人がどのくらいいるのかは分らないが、全体で10万人を超える人が被災していたのであるから、その数は少なくないであろう。

 

 平成28年分所得税確定申告は、平成29年3月15日をもって一応終了したところであるけれども、もし、誤りがあり税額が少なくなるのであれば、更正請求という道がある。

 

 修繕費と保険金の取り扱いについて振り返り、もう一度見直ししてみる必要もあるのではないかと思うのである。


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長老が逝ってしまった

  • 2017.09.08 Friday

 ミント(ノーフォクテリア 雌)のときは大雨だった。2年前の6月10日、葬儀場で読経が済み火葬場に運びこむとき、雨が止み、かすかに晴れ間が見えたのであった。涙の葬儀、あれから2年。今度はチャーリー(ノーフォークテリア 雄)が死んだ。16歳3か月と14日、人間なら84歳の長寿を全うした。最後は眠るように息をひきとったのである。8月25日(金)午前1時30分のことだった。

 

 チャーリーとミントは夫婦だった。1歳年下のミントの性格が強かったこともあって、チャーリーはいつも控えめでおとなしく穏やかに過ごしていた。若いときの写真を見るとその雰囲気が良く表れている。

 

 ミントは晩年2度の手術をしたが、それにしては丈夫だった。しかし、その後腎不全を患って入院した。人間ならば人工透析をうけなければならないもので、打つ手はなかった。もう危ないということで家に連れて帰り、苦しみながら最期を遂げたのである。

 

 チャーリーはお盆前くらいまで元気に歩き回っていたが、盆の終わりに足に力が入らないようになり歩行困難となった。六日間通院し点滴をしたが、回復は難しいとみて自宅での介護となった。寝たきりになり、2〜3時間おきに体位変換をしていた。次第に食事が摂れなくなり、水分だけになって、その水分も摂れなくなり、枯れるように逝った。これらの介護は全て娘の渾身の努力に負うもので、お蔭で床擦れすることもなく、老衰での見事な大往生だったのである。

 

 

 葬儀は翌日11時から、ミントのときと同じところで行った。隣家の小学生の孫3人も参列し、骨を拾ってくれた。可愛い小さな骨壺に入ってしまったのを見ると、新たな悲しみが湧きあがってくるのだった。

 

 チャーリーは5年ほど前に白内障に罹り視力を失っていた。それでも家の中を歩き回り、よく壁をなめた。眼が見えていたときは壁をなめるようなことはしていなかったが、視力を失くしてからは、何かを確認するかのように壁をなめるのだった。

 

 我々はこれを可哀そうに思い、たしなめることはしなかった。壁は荒れるに任せた。チャーリーの死後、修理すれば良いと考えていたのである。

 

 チャーリーが死んだ今、修理のことが頭に浮かぶけれど、まてまてと・・・。そう急ぐことはないぞ。チャーリーの生きた痕跡をもう少し残しておこうとも思うのである。

 

 

 チャーリーの死は、ミントのときほどの慟哭を我々にもたらさなかったように感じる。こういうと大変薄情なようでチャーリーに申し訳ないのであるが、同じ愛犬なのに、その違いはどこから来るのであろうか。

 

 2年前にミントの死で強烈な別れを経験しているからなのか、息の引きとり方の違いによるものか。いずれにしても、我々のチャーリーへの想いがミントのそれに劣るということはない。

 

 

 ともあれ、チャーリーは我々の中では一番の長老であった。その長老が菩薩のところへ旅立ってしまったのだ。そこにはミントが待っているはずだ。そこで再び夫婦として仲良く生きて欲しい。そう強く願うのである。


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預かった犬、大騒ぎ

  • 2017.08.26 Saturday

 隣家に娘夫婦が3人の子供と住んでいる。そこに飼われているのがトイプードルの雌犬、名をチーズという。折に触れて当家に遊びに来ているので性格は分っている。チーズは極めておとなしい優しい子である。

 

 夏休み、キャンプに出かけるというので、チーズを一晩預かることとなった。こんなおとなしい犬を置いていくなんて、キャンプ場は室内犬を連れて行けないところなのか。

 

 このチーズは、体格が当家のハナ(ノーフォークテリア 雌)とほゞ同じであるがハナよりスリムである。ハナとの折り合いはもう一つというところであった。

 

 そういう状況にあって、二人が一泊二日を共に過ごすことになったのである。ハナは元来元気が良いというか傍若無人のところがある。相手の性格なんか歯牙にもかけない態度をとるのだ。

 

 果たせるかな、一緒にしてみると、ハナがチーズに攻勢をかける。チーズは唸って威嚇するのだが、ハナは尻尾を振って喜んでいる。チーズに怒られても体を一瞬低くしてかわしながら、また、しつこく纏わりつく。

 

 

 結局、チーズはタジタジとなって逃げまわることとなったのである。

 

 彼らの世界では出会って暫らくすると序列が決まり、そのグループ内の秩序は安定化すると思うのだが、この二人の場合、今まで何回か一緒になっているにもかかわらず、なかなか安定しないのである。相性が悪いのか、お互い虚勢を張っているのか。

 

 チーズにとってみれば、家族と離れて心細いところに苛められて気の毒なことである。

 

 二日目の夕方、一家がキャンプから帰ってきた。帰るとすぐ皆でチーズを迎えにきた。玄関ドアを開ける音にチーズが反応し、声を上げる。子供たちが走り寄ってきた。チーズが抱き着く。チーズを抱き上げる。チーズの嬉しさがほとばしる。

 

 長かった一泊二日、チーズのキャンプが終わった。


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